助産師歴22年の「いのまた先生」に教えていただく、『命の底にガツンと響く母親学級』。
Windys編集部との対談方式でお届けしています。
vol.4のお話は、これまでと異なり「事務的」な印象を受けるかもしれませんが、ママと赤ちゃんを守るためにとても大切なことですので、ぜひ今回も一読くださいね。
【目次】
vol.1 「そもそも、46億年のはなし」
vol.2 「ママは幸せでなくちゃいけない」
vol.3 「女は出産で生まれ変わる!」
vol.4 「日本はママと赤ちゃんを放っとかない!」→Here today!
-産後はあっという間に退院-
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いのまたさん、本日もよろしくお願いします!
(レジュメを見ながら)今日のお話は、少し普段と違う雰囲気ですね。
いのまた:
そうなんです。
でもすごく大事なことで。
まず先に、本日お伝えしたいことをまとめてしまうと、
出産したら、「出生届」はもちろんのこと、母子手帳にセットされている「はがき(※)」をすぐに出すこと。そうすれば日本は、
産後のママと赤ちゃんを絶対に放っておきません。
その都度、ママと赤ちゃんに必要な道しるべを示してくれます。
(※)「出生通知票」「出生連絡書」「出生連絡票」などと呼ばれるもの。自治体によって呼び名が異なります。
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「ママと赤ちゃんを放っておかない」とは?
いのまた:
まず昨今の産婦人科事情について知っておいてほしいのだけど。
今は昔と違って特に問題がなければ産後3〜4日目(長くても6日目)に退院することが多いです。
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てっきり1週間は入院しているものかと!
いのまた:
2〜30年前であれば、初産婦さんは産後1週間は入院していたのだけど、年々、退院までが短くなっています。
でも、「しっかり赤ちゃんのお世話ができるようになってから家に帰れる♪」と思っているママも多いので、そういう人からすれば入院期間が3~4日しかないと
「えっ!!もう退院?!私何も分からないけど?」
となってしまう。
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そういうママの気持ち、分かる気がします。私も「女は出産で生まれ変わる!」の回でお話を伺うまで、「病院に行ったら、全部なんとかなるんでしょ〜」って思い込んでいたので。(汗)
いのまた:
そうだよね。
そしてこれまでは「退院したら1カ月検診までなんとか頑張ってね!」という感じだったけど、産後の「うつ」や「虐待」の問題が表に出始めるようになり、
「病院」としてだけではなく「国」として産後のママと赤ちゃんをフォローしてあげましょう、という風潮になってきた。
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というと?
いのまた:
例えば今までは、出産後、次に病院に来るのは「1カ月検診」の時だったのだけど、今は「2週間検診」も行うようになった。
国の方で助成金を出すから、産後「2週間」でママと赤ちゃんを病院に来させてフォローしてあげてね、ということになったの。
-とにかく「手厚い」日本-
いのまた:
産後すぐに退院して、ママは不安になるかもしれないけれど、先ほど言ったように、すぐに「2週間検診」があります。
出産した病院では産後1カ月までは何かあったら相談に乗ってもらえるし、1カ月を過ぎたら(すぐに「はがき」を出せば1ケ月経つ前に)保健所が「新生児訪問」などを通しフォローしてくれます。
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「新生児訪問」では何をするんですか?
いのまた:
赤ちゃんの健康状態を見たり、ママの不安や悩みを聞いたり、その地域のママと赤ちゃんに対する情報やサービスを持ってきてくれるの。
「ママさん教室がここであるよ〜」「おっぱいで心配なことがあったら、ここで助産師さんに相談ができますよ〜」みたいな。
産後のママと赤ちゃんにとって必要なサービスが「その都度」届くシステムが、日本は整っているんです。
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日本って、なんて手厚い国。。
いのまた:
そう、そしてその手厚いサービスを速やかに受けるためには最初にお話した「はがき」が重要なんです。
-ハガキを出せば地域とすぐ繋がる-
いのまた:
母子手帳にセットされている「はがき」は、自分が暮らしている地域の自治体に赤ちゃんが生まれた事を知らせるためのもの。
「はがき」を早く出せば、それだけ早く「新生児訪問」も来てくれて、保健師や助産師がフォローしてくれる。
そして、自治体が行っている子育て支援サービスの情報も手に入る。
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なるほど。
今はコロナで孤立しがちだからこそ、早く「はがき」を出すにこしたことはないですね。
いのまた:
そう、そしてここでもう一つ覚えておいてほしいことがあって。
各自治体によって、子育て支援サービスの内容が違うのね。
だから、もし母子手帳をもらった後に引っ越した場合は、必ず住民票を移してそこの自治体の「はがき」をもらう必要がある。
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まさかの住民票の話に!
つまり、引っ越した先で住民票を出すときに、妊娠していることを申告すればいいんですよね?
いのまた:
そうです。
たまに、住民票を移さない人とかいるでしょ?
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いますね。
いろんな事情があるのでしょうが。
いのまた:
住民票を移動させておかないと、自分が暮らす地域のサービスがうまく受けられなくなっちゃうので、気を付けてほしいです。
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せっかくあるサービスは使わないともったいないですよね!
いのまた:
あと今、ママたちは不安なことがあるとネットで調べまくるじゃない?
でも、ネットで100の情報を集めるよりも、早く専門家に相談しちゃった方がいいと思うの。
だからまずは、なるべく早く新生児訪問に来てもらって、情報をもらって、その時の自分に必要な専門家と直接繋がってもらえたらと思っています!
-ゴタつくのは出生届を出した後で-
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ちなみに「はがき」を出さないと、「新生児訪問」などは来てもらえないのでしょうか?
いのまた:
そんなことはないです。
もし「はがき」を出さなくても、「出生届」さえ出していれば、日本はママと赤ちゃんを絶対に放っておきません。
遅かれ遅かれ、、必ず「新生児訪問」を通してフォローされます。
何はともあれ、出産したらまずは「出生届」を出してください。
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「出生届」を出さない方、いらっしゃるのでしょうか?!
いのまた:
たまに。。
「出生届」を出さないって、それは
「戸籍がない」
ってこと。
名前とかはテキトーでいいから、とにかく出産したら2週間以内に提出する必要があります。
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2週間以内なんですね。
いのまた:
そう、2週間を過ぎると、いろんな証明や手続きが必要になり、大変なことになります。
もちろん病院側からも必ずお伝えするのだけど、たまーーに、ご家庭のゴタゴタと出産の時期が重なって、出し忘れる人が。。
あとは、普通にポカンとしてて忘れちゃう人もいて。
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あぁ......。
いのまた:
一世一代のゴタゴタが起きると、2週間なんてあっという間に過ぎてしまうしね。
だから、出産した時はなんとか仲良くしてもらって、ゴタゴタするんだったら、出生届を提出したあとにお願いします、っていう。(苦笑)
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なるほど、皆さん
産んだら「出生届」と「はがき」を出す
というのは、これを機に暗記しておきましょうね!
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