母親学級

助産師歴22年の「いのまた先生」に教えていただく、『命の底にガツンと響く母親学級』。

Windys編集部との対談方式でお届けしています。

-子育ての前には「お産」がある-

子孫繁栄という自然現象

いのまた先生

妊娠したら、「お産」がママさんたちの次の大きなイベントになっていきます。

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そうですよね。

いのまた先生

でも、「お産」が大きなイベントだと言うことに、最初から気付いている人と、そうでない人もいるのです。

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というと?

いのまた先生

妊娠後に起こるマイナートラブル(つわりや眠たさや腰痛やこむら返りなど)や身体の変化に着目しちゃって、お産まで意識が向かない人も結構いて。

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そういうものなのですね。

いのまた先生

あと、妊娠したら「お産」を飛び越えて、これからの生活のこと・ワンオペになるのか・旦那はどこまで手伝ってくれるのか、みたいな現実的な子育ての方にばかり目が向いてしまいがちで。

だから、妊娠と子育ての間に「お産」をしなくちゃ、というのを後になって気付いたり。

助産師の方は、ママさんたちと関わる上で「お産」がわりとメインだと考えているんですけどね。

-産むのはママしかいないから!-

子孫繁栄という自然現象

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妊娠してもすぐには「お産」に意識が向きづらいと。

いのまた先生

妊娠したら「私、妊娠した〜♪」っていう感じで、ふわふわ〜っとしたまま、「お産」を迎える人が多いように感じます。

「お産はみんなやっているし、なんとかなるかな〜」「とりあえず病院に行けば何とかしてくれるんじゃないかな〜」みたいな。

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その気持ち、分かります。私も妊娠したことはないけど、そう思ってます。(笑)

いのまた先生

でも実際にやってみると「思っていた以上に壮絶な痛み!!!」という感じになっていく。

そういうママさんは「お産」に対して無防備、、、こちらとしては「準備してなかったんだ〜」みたいなことが多くて。(笑)

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「お産」をすっ飛ばしていたから、、

いのまた先生

でも、産むのはママしかいないからね!

vol.1でも話したように、またこれも自然現象の一つであって。

そんなことは思ってもみなかったかもしれないけれど、最終的に女性はお産のなかで「産む覚悟」をしなければならない。

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否が応でも。

いのまた先生

本当の最終の最終の最終は、覚悟をせざる得なくなってみんな覚悟することになるんだけどね。

その覚悟がどれくらいに早くできるかが、「お産の達成感」とか「今後の育児への自信」につながっていくの。

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そうなんですね!

いのまた先生

たとえば医療的にこじれてしまった「難産」だったとしても、その人が覚悟して挑んだ「お産」であれば、その経験は「自信」につながっていく。

医療的に見た「いいお産」と、ママが感じる「いいお産」というのはまた別の話で。

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なるほど。

いのまた先生

医療的には「いいお産」だったとしても、本人にとって「嫌なお産」だったのであれば、いくら周りが「いいお産だったね〜」って言ったとしても、ママは「お産」で思いがストップしてしまう。

次につながらない。

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やっぱり当の本人がそう思えてないと。

いのまた先生

そう。だから、サポートする側としては、ママさんが「いいお産だった」と思えるようにサポートしていくのが大事。

まぁそれを助産師さんがみんな分かっているかな?っていうのはあるんだけど。

意外と小難しいこというでしょ、私?

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確かにこれまでとは色が違うな、と思いました。(笑)

-お産一つで人生が変わる-

お産一つで人生が変わる

いのまた先生

「お産」をどう捉えられるかが、その後の育児とか、ママさんが自分を肯定できるようになるか否定してしまうか、そういうところに大きく関わっていくんですよ。

お産一つだけでも、その人の人生が変わるんです。

簡単に言うと「生まれ変われるかどうか」ってこと。

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赤ちゃんが誕生するだけのものではない、と。

いのまた先生

結構壮大なんですよ、「お産」って。

だから、「今までの人生がうまくいかなかった」とか「それまでの人生が不幸だった」と思っている人ほど、お産って生まれ変われるんです。

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「お産」は生まれ変われるチャンスをもらえるわけですね!!

いのまた先生

そうそう!

だから、そんな風に思って「お産」に挑めたらめっちゃ楽しくない?っていう話なんだよね。

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本当にそうですね。

いのまた先生

vol.2でも話したように、みんなそれぞれ何かを体験するために生まれてきています。

産む人たちは、産むことを最大限楽しむために生まれてきていて。

自分なりに「いいお産」にできれば、確かな自信にも繋がるし、まさかのハイスペックな自分になれたりするんです。

こういう経験ができると思ったら、「お産」に挑みたくなると思わない?

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はい、どんなものか挑んでみたい気持ちになります。(笑)

-言っても「お産」は命がけ-

いのまた先生

日本は、世界で見ても、本当に安全に「お産」ができる国です。

だからみんな「お産は病院に行けばなんとかしてくれる」って思いやすいし、まぁ実際になんとかなりますしね。

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ありがたいことです。

いのまた先生

でもやっていることは本当に、命がけなんですよ。

けれど、「妊娠・お産・育児はハッピー♪ファッショ〜ン♪」っていう雰囲気に。。(笑)

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その風潮は、確実に感じます。(笑)

いのまた先生

まぁそれくらい、ライトにしちゃったことも悪くはないんだけどね。

でもその感覚だと、「どういうお産にしたいか」っていうのを深く考えられないよね。

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日本では、バースプランを書きますよね?

いのまた先生

そうそう。でも、「お産」をライトに捉えていると、その内容とかも「安産でいいお産にしたい。」みたいな感じで終わっちゃう。

「お産」は命がけのことだし、生まれ変われるチャンスでもある!ということを最初から知っていれば、もうちょっと深掘りした内容になると思うんだけど。

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そうですね。

いのまた先生

助産院でお産したいって来る人って、「お産」へ覚悟を持って挑んできている場合が多くて。その人たちのバースプランとかは結構泣ける感じがあるんです。

自分の人生をしっかり捉えているから、「お産」を誰か任せでなくて、自分で成し遂げようっていう気持ちがすごくある。

だから読んでいて、「生まれ変わるなぁ、この人」と思ったりします。

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やっぱり覚悟が大切ですね。

いのまた先生

でも、覚悟を持って来れなかった人だって、お産の途中で「覚悟を決めたな」ってなってからは、展開が早かったりするんです。

「もう痛いのはしょうがないんだ。頑張ろう」って、いい顔になるんです。

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聞けば聞くほど、早めの覚悟が必要だと感じます!

いのまた先生

いい体験なんですよ、「お産」は。だから怖がらないでほしいです。

もちろんこちらも痛いのは散々わかっているから、「途中で心が折れるかもしれないけど覚悟してきました」っていう感じの方が、喜んでサポートしたくなります。

もちろん、覚悟してなくても、全力でサポートしますけどね!!

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みなさん!「お産」は覚悟して挑んで、助産師さんにたくさんサポートしてもらいましょう!(笑)

-ママと赤ちゃんが元気ならいい!-

頭でお産はできない

いのまた先生

でも「お産」って、どんなに覚悟してきても、始まってみないと実際にどうなるか分からない。

終わってみなければ何が起こるか分からない。

終わってみて、ママと赤ちゃんが元気だったらいいんです。

「お産」の最終目的は、ママと赤ちゃんが元気でいること。その目的さえもちゃんと覚悟していないと軸がブレるんです。

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軸がブレると、どうなるのでしょう?

いのまた先生

せっかく最終目的が果たせても、

「なんで3日もかかったんだ?」

「傷がこんなに大きくなって」

「あの医療者の言葉に傷ついた」

「NICUにいっちゃった、、」

みたいな、「思ってもみなかったお産での経験」が心に引っかかってしまって、思い切って育児にいけない人がいるんです。

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そっか。。

いのまた先生

何があったって、「最終的にママと赤ちゃんが元気だったらなんでもいいんだよ!!」「命は残ったじゃん!!」ってならないと、ここでストップしてしまうことがあるんです。

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周囲の人も、そこに配慮しないとですね。

いのまた先生

そう。これは、出産する本人もそうだけど、助産師を含めた関わる人たちみんなにも知ってほしいことで。

たとえ思ってもみなかったことが起こったとしても、「お産」の最終目的を強調してあげて、ママを次に進ませてあげることが大切なんです。

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本当に勉強になります!

いのまた先生

「お産」には覚悟をして挑んできてほしいと思うし、生まれ変わるような素晴らしい体験をしてほしいと思っています。

でも、かと言って無痛分娩や帝王切開を選んだ人が悪いとは思わないです。

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日本では、あまりしない選択ですよね。

いのまた先生

はい。

無痛分娩や帝王切開については、医療者によっていろんな見解があると思いますが、自分の「お産」を自分で選ぶなんて素晴らしいじゃないですか!

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その見解は初めて聞きました!!

いのまた先生

助産師の中でも「無痛分娩なんてお産じゃない」とか言っている人もいるんだけど。

フランスやアメリカでは無痛分娩が普通じゃないですか。

そういう国からは「日本のお産はサディスティック」とまで言われているんですよ。帝王切開のあとに使う薬もすごく少ないですしね。

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サディステックって。(笑)

いのまた先生

自分の「お産」のやり方を選ぶってことは、覚悟ができているからできること。

でも世の中的には、それを選択すると嫌な顔をする人もいるだろうだから、そういうのは聞き流せるようになってくれるといいな〜とは思います。

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なんか心強い!!!私、痛みに弱いので。(汗)

いのまた先生

はたから何か言われる筋合いはない。ぜんぜん堂々としてていい!!と、私は思う。

それに無痛分娩なら何かあったときにすぐに帝王切開できたりして、かえって超ラッキーだったりすることもあるわけで。

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いのまたさんと話していると、みるみる「お産」への恐怖心がなくなっていきます。

いのまた先生

多分、私と話すと、お産してみたくなると思うんだよね。(笑)

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なりますね!

いのまた先生

だからぜひとも「結婚したくないな」とか「子供を産みたくない」とか思っている女性は私と話せみてほしいと思っていて。

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ちょっとそれは、、、すごく面白そうなので、後日企画会議させてください!!

次回に続きます。

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