【認めるのが悔しい】子どもを欲しいと思えなかった"わたしの本音"

志緒村亜希子[元・子ども苦手カウンセラー/8歳男児の母/感情の専門家/やさぐれ女子の駆け込み寺]

妊娠出産のテーマを通して本当のわたしらしさが見えてくる!?忙しい毎日の中「子どものことは“そのうち”考えたい」と思う今だからこそ見つめたい、産む、産まないのもっと手前にある「わたしの本音」。豊かな人生を、ここからはじめよう。

第1回 【言えたら、癒える】「私も、お母さんになるのが怖かった」
第2回 【知るだけで、いい】「自分にとっての妊娠出産」を知ることで、全ての女性に起こる驚きの変化
第3回 「子どもが欲しいのかどうか、分かりません」煮え切らない気持ちとの向き合い方

前回は、妊娠出産のテーマに向き合うとき母親の存在がネックになる人がいる、というお話をしましたね。

ちょっとヘビーになってしまって申し訳ないのですが、ここで、私の過去のこじらせ話をしてもよろしいでしょうか? 

結婚4年目ごろのことです。

「反抗期って30過ぎても続くもの?」

そう自分でも呆れるほど、私と母は口を開けばぶつかることの繰り返しでした。

子どもの頃からマイペースで自由人な私。真面目な母にとって理解不能な宇宙人に映っていたようです。

母の期待通りになれない私は、いつの頃からか「自分はダメな人間なんだ」と思うようになり、自信を失っていた時期もありました。

社会人になってからは、海外に住んだり、交友関係を広げたり、資格取得に励んだりと、やりたいことに夢中で、全く落ち着く気配のない私に、ため息ばかりの母。当時よくぶつかってはお互い心をすり減らしていました。

もちろん、母はただ私の“普通の幸せ”、つまり結婚して家庭を持つという未来を願ってくれていただけ。

一方、それが分かるからこそ重くて息苦しい。当時の私は、母の「期待」や「コントロール」という無言の圧を、無意識に避けながら人生の大切な選択をし続けていました。

こうして「母親」を意識しながら選択し続けていることに、気づかないままでいると、どんどん自分の本音が分からなくなっていくのです。

気づかないままでいると、

子どもを欲しいと思えないことは母への復讐だったーー

子どもが欲しいと思えずひそかに悩む自分。でも夫は望んでいる。

「将来子どもについて、私は本当はどうしたいのだろう?」

当時すでに心理カウンセラーだった私は、怖いながらも本音に向き合ってみることに。

すると、子どものいる未来を描けない心の奥に「母の思うつぼにだけはなりたくない」というガンコな反抗心を見つけてしまいました。

「子どもを産みたい」とか「夫との子どもが欲しい」と思うことは母の思うつぼ。と無意識に選択肢を狭めていた私。

つまり「わたしが"母の思うような幸せ"にはならないことで母に復讐しようとしていた」というわけです。母の価値観の中には私の幸せはない。もう放っておいて!とでも言わんばかりに。

それに気づいた時、自分の恐ろしさに震えました。

とても認めたくない心の声ではあったのですが、一方で自分の本当の気持ちを分かってあげられた安心感からか、あたたかい涙がこぼれたことを覚えています。

-自分の子どもに会いたいかもしれない

自分でも理解していなかった心の絡まりを知ったことで、胸の奥で鎮座し続けてきた母に対する抵抗感や復讐心が、スーッと溶けていくのがわかりました。

それからしばらくしたあるとき。ふと「自分の子どもに会いたいかもしれない」と初めて頭によぎった瞬間がありました。

この言葉をすぐに口にする勇気はありませんでしたが、大きな変化だったと思います。

なぜならそれは母が期待していた"普通の幸せ"と重なるものだったから。

でももう、それを避けようとする自分はいませんでした。

"仲良し親子"でも。

実は、母親との関係がこじれていない、一見すると"仲良し親子"の方でも、母親からの影響によって本音がわからなくなっていることがあります。

以前、あるご相談者の方が、カウンセリングの後、こんなふうにおっしゃっていました。

今振り返ると進学先や就職先も、母の意見を参考に決めていました。着る服や旅行先も、無意識に母に反対されないかどうかで選んできたかもしれません。最近始めた婚活は、どんな人を選べばいいのか正直よく分からないので条件で見ています。そういえば過去にお付き合いした人も、母に紹介したら何と言われるのかばかりが気になり、反対されないような人を無意識に選んでいたように思います。

母親を尊敬しているからこそ、無意識に母親の価値観で選択していることがあります。

一方で、うるさく文句を言われるのが面倒なので母親の価値観で選択している、というケースもよく見受けられます。

あなたはいかがでしょうか?

後日、先の相談者の方からはこんな連絡をいただきました。

「仲良し親子のフリからはもう卒業します」

まずは「日常の」本音を大切にするところから

母親との関係を見直すことはちょっとエネルギーが要るという方もいるかもしれませんね。

ただ、あなたの心が本当に求めるしあわせへ向かうためには、(母親を含めた)他人に預けてしまった人生の主導権を自分に戻すことがとても大切です。

特に妊娠出産に関する"本音"は心の中のとても純粋で繊細なところにあるもの。だからすぐに見つけようと思ってもなかなか見つからないかもしれません。

そこで私がいつも相談者の方にお伝えしているのが、まずは日常の中で本音を大切にする生き方を整えていきませんか?ということ。

「いまの私、機嫌がいいな♡」「なんか不機嫌。」「めっちゃ快適!」「ちょっと不快かも・・・」

くるくる変わる女心。その表情を、まるで実況中継するかのように、そのままジャッジせず見守ること。

そうしていくうちに、ずっと探していたあなたの"本音"が、顔を出してくれるかもしれません。

【あなたのお話聞かせてください♪】

アッコ先生へお悩みを相談したい方、話を聞いてもらいたい方のお便りを募集しております。こちらのページからどしどしお寄せください。妊娠出産にまつわるテーマはもちろんのこと、心の中のにある、うにゅ〜っとした一人ではどうにもならない思い、ぜひ届けてくださいませ。(Windys編集部より)