志緒村亜希子[元・子ども苦手カウンセラー/8歳男児の母/感情の専門家/やさぐれ女子の駆け込み寺]
前回は、妊娠出産のテーマは「ちょっと面倒臭い」と感じていた私のことをお話ししました。
仕事に楽しく集中したいから、と向き合うのは後回し。するとさらにその奥にまだ続きがあることに気付いてしまいます。
それは「私はお母さんになるのが怖い」という本音でした。
私はぜひWindys読者の皆さんに、産む、産まないという結論は横に置いておいて、「自分の妊娠出産について、いま自分がどう感じ、捉えているか」という価値観の部分を見つめてほしいと思っています。
なぜなら、自分にとって、女性としてどんな生き方を望んでいるのか、その中にヒントがいっぱい詰まっているから。
そしてそれは、子どもが欲しいと思えることがいいとか正解で、思えないことがよくないとか不正解ということでは全くありません。
自分の中の"マーブル模様"を見てあげる
そもそも「妊娠出産」は女性にとってパーソナルでありデリケートなテーマです。
誰にでも話せる部分と、心に秘めていたい部分、そして自分でもまだまだ気づいていない繊細な気持ちや考えもあることでしょう。
私のように「面倒くせっ」とか、言葉にならない感覚を抱いていたり、このテーマを見て瞬時に画面を閉じたくなった人もいるかもしれません。
そして妊娠出産とひとことで言っても、単純ではありませんよね。
そこに伴って女性の心に浮かびあがるのは健康、親とのこと、パートナーシップ、過去の記憶など・・・将来の子どものこと以外にも、実にいろいろなことが絡み合ってきます。
それは決して直線で仕分けることのできない、複雑さが美しいマーブル模様のようなもの。
そんなあなたのマーブル模様を客観的に見てあげるということが、自分を知るということです。
-複雑さを前に立ちすくむ女性たち
以前、妊娠出産のテーマに向き合うのがちょっと怖かったり、子供が欲しいと思えず悩んでいる女性たちに向けたトークイベントを定期的に開催していました。参加くださった方からは
- 「この機会を開いてくれて本当にありがとうございます」
- 「ひとりではどう向き合っていいか分からなかった」
- 「もっと自分の気持ちを大切にしたいと思えた」
などと口々に言っていただきました。
世の中にはこのマーブル模様を見つめてみたくても、どうしていいか分からずその複雑さを前に悶々としている女性がたくさんいらっしゃいます。
そうでなくても多忙を極める毎日の中、自分を知ることで息苦しさから解放され、あなたらしさが輝きはじめると私は信じています。
「まさか自分が怒っていたなんて!」
さて、自分の妊娠出産と聞いて、思わず「腹が立つ」と答えてくださったWindys編集長。
「女性はすごい存在。だから男性に何とかしてもらおうとかじゃなくて、もっと自分の輝きをスパークさせようよ!」と。
そう口にしたあと「まさか自分が怒っていたなんて!」と驚かれていました。大切なのはこの気づきです。
それまでは「子供が欲しいと素直に口にする女性を見るとなぜか少し敬遠していた」という編集長。それを自分が認めておられたことがまず素晴らしいと思いました。
だって、そう思っていてもなかなか認めたくないじゃないですか。認めてしまったら自分が嫌なヤツに思えるというか!
でもそれが女性を攻撃したいのではなく「自分の仕事への熱さゆえだった」と気づくと、
『私も子どもが欲しいと思っていいんだ』
『純粋に、子どもがほしいという気持ちが出てきてちょっと泣けた』
と教えてくれました。
【知るだけで、いい】ってそういうことなのです。
ただ、こんなにストレートに自分の気持ちの変化を受け取れる方は珍しいです。
いつもクライアントの女性たちはもっとじわじわ時間をかけて1ミリずつ進んでいくことが多いですので、編集長のようにすぐに気持ちの変化を感じ取れなかったとしても安心してくださいね。私たちの心はマーブル模様ですから。
受け入れたくない自分に出会ったとき
改めてここでお伝えしておきたいことは、子どもが欲しいと思えることがいい、思えないことがいけないという、正解、不正解はありません。
それよりも例えば、『頭では急がなくていいと分かっていても心がそう思えていない』ことに気づくことや、『子どもが欲しいと思えない私は女として失格かも』等、ジャッジしていることに気づくことの方が大切です。
もしも受け入れたくない自分に出会ったとしたら今はまだ深く考えず、まず「私はそう感じているんだな」と見守ってあげてくださいね。
もしくは、薄目でなら見てあげられそうでしょうか?
全ては「知る」ところから始まります。
-未来をひらく扉につながる
さて、妊娠出産の価値観を通して自分を知ることは、あなたの生き方に対してさまざまな“はたらき”をもたらしてくれること、なんとなくイメージできたでしょうか。
特に、親やパートナーとの関係性を見直したり、すれ違いや誤解が解けて傷を癒やすきっかけに結びつくなど、未来をひらく扉につながってゆく。私はこのことに注目しています。
それではここで、ゆっくり深呼吸をひとつしてみましょうか。そして自分の内側への旅をはじめましょう。
〈〈 前回 『私も、お母さんになるのが怖かった。』