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産後のママたちとお話をしていると、「母乳育児期間は至福のとき」と、キラキラした笑顔で言われることがたくさんあります。
ただ、この記事にたどり着いてくださった方は「私は全然そんなんじゃない!」と思われているママがほとんどでしょう。
安心してください。
母乳育児をされたママたちのほとんどは、母乳育児に特有のベールに包まれたつらさを経験してきていますから。
母乳育児は赤ちゃんがママの乳首を正しく吸えている事が大前提です。
「正しく吸える」とは、赤ちゃんが乳首をとらえて吸い付くまでがスムーズであること。
かつ、ママも吸われている乳首に傷がつかなくて、痛みもなく心地良いもの。
また母乳育児は、「自立哺乳」と言って、時間に関係なく赤ちゃんが泣いたらおっぱいを吸わせることで、母乳量を増やしていけます。
今回は、7つのシーン別に日々現場で実践している母乳育児のアドバイスをさせていただきますね。
1.乳首を吸ってくれなくてつらい時
考えられる原因(1):乳首の形が吸いづらい
乳首・乳輪部の長さが足りない、硬くて伸びない短乳頭、陥没乳頭、巨大乳頭 など。
赤ちゃんが吸いやすい乳首の形状に近づけるように、授乳の前には乳首・乳輪を伸ばすマッサージをしましょう。
指でマッサージしづらいなら乳頭吸引機を使用するのも一つです。
また、乳首の長さの補足として乳頭保護器を使うのもおすすめですよ。
それでも母乳育児がスムーズにいかない場合は、赤ちゃんにとって十分に乳首・乳輪を伸ばせてない可能性が強いです。
ぜひ、おっぱいマッサージをしてくれる助産院に相談してみてくださいね。
考えられる原因(2):赤ちゃんの吸う力が弱い
早産児、低出生体重児、黄疸(おうだん)が強い、哺乳瓶に慣れている、など。
この場合は、必要なミルクや搾乳を哺乳瓶で与えて、母乳育児が出来るようになるまで赤ちゃんの成長を待ちます。
その間、母乳練習用の哺乳瓶で、おっぱいを吸うトレーニングを始めてみてください。
ただし、まだおっぱいを吸う力が弱いと、赤ちゃんが疲れてしまい体重が増えづらくなる可能性もあります。
あくまで赤ちゃんのペースでいきましょうね。
2.乳首を吸われると痛くてつらい時
考えられる原因:乳首・乳輪が伸びていないetc.
母乳をあげようとすると、乳首が痛くなる原因は以下のようにさまざまです。
- 十分に乳首・乳輪が伸びていない
- 赤ちゃんがおっぱいを深く吸い込めていない
- 乳首・乳輪に傷がある
- 乳首の先端に血豆や水泡が出来ている
- 授乳抱っこの姿勢が不安定
- 赤ちゃんの唇が巻き込まれて吸っている
- 乳首がデリケートな部分なので、単純にママが慣れていない
乳首・乳輪をしっかりマッサージすることは大切です。
もし、乳首・乳輪の傷が深いなら母乳育児は休んで、搾乳に切り替えてくださいね。
また、授乳スタイルに無理がないよう、クッションや小枕で安定させる抱っこの仕方(
縦抱き・横抱き・脇抱き)を工夫してみてください。
赤ちゃんの唇が巻き込まれて、乳首が痛い場合もありますので、確認してみましょう。
乳首・乳輪は確かにデリケートな部分ですが、母乳育児を続けていくと鍛錬されて痛みや違和感は取れていくので安心してくださいね。
3.授乳が頻回すぎてつらい時
考えられる原因:母乳の量が足りていない
ただし、母乳の量が足りていても欲しがるタイプの赤ちゃんもいます(いわゆる「おっぱい星人」の赤ちゃん)。
特に生後一カ月まで、赤ちゃんは夜行性で昼間は良く寝て静かでも、夜中はよく泣いておっぱいを欲しがります。
授乳をたくさん行うと、母乳はよく出るようになります。
ただ、頻回の授乳でママがつらい時にはミルクの力を使って赤ちゃんを落ち着かせ、休みましょう。
あえて3時間空けて授乳する形にしても良いでしょう。
そして、どうやら赤ちゃんが「おっぱい星人」の場合。。
身も蓋もないようですが、もうこれはその子の「キャラ」だと思って受け入れてあげてください!
4.母乳が出づらくてつらい時
考えられる原因:乳首・乳輪への刺激が少ない
そもそも、ママのおっぱいから出る母乳の量は個人差があることを覚えておきましょう。
またおっぱいが出づらい場合には、乳首・乳輪からの正しい刺激を、ママの身体が受け入れていないことも考えられます。
十分に乳首・乳輪を伸ばし、授乳の回数をできる限り増やし、乳首・乳輪に刺激を入れましょう。
また、ママの体調を整えることも忘れずに。
産後の心身をいたわってあげていますか?
休息・良質な睡眠をとる工夫をして、消化の良い食事を取り、貧血にならないようにしてくださいね。
そして、母乳を出やすくするためには、おっぱいマッサージはとても有効です。
専門のおっぱいマッサージを受けながら、産後の身体の悩みも話せる助産師と関わることは母乳育児のつらさを取り除けます。
ぜひ積極的に活用してください。
5.おっぱいの張りがつらい時
考えられる原因:産後2~3日目の反応
個人差はありますが、産後2~3日目ころ、急におっぱいが膨んでかたくなり、痛くて寝返りも打てなくなることがあります。
この時点ですでに母乳育児のつらさに直面し、心が折れかけるママも少なくありません。
あまりにもおっぱいの張りが強くつらい場合は冷やしてやり過ごします。
少しでも搾乳できるならそうしても良いのですが、逆におっぱいが張ることを促してしまう場合があるので、少し注意が必要です。
つらさのピークは2~3日ですので産院のスタッフと相談して対処していくようにしてくださいね。
6.おっぱいが詰まってつらい時
考えられる原因:母乳が通過する管が詰まっている
おっぱいが詰まると、赤ちゃんがおっぱいを吸ってもスッキリしない、柔らかくならない、触ると痛い、しこりを感じる、といったような状態になります。
おっぱいが詰まってしまう要因は、以下のようにさまざまです。
- お出かけして授乳リズムが崩れた
- 赤ちゃんが夜に寝る様になった
- 普段食べないような消化の悪いものを食べた
- 胃腸の調子が悪い
- 身体が疲れている
- 薄着をして身体が冷えた
- 風邪を引いた
- 旦那と喧嘩した
- ショックなことがあったetc.
思い当たることがあれば、それに応じた対処を行っていきましょう。
赤ちゃんに吸われても乳首が痛くないなら、出来るだけ頻回におっぱいを吸ってもらってください。
吸わせるタイミングが合わないようなら、搾乳してたまっている乳汁を出しておきましょう。
吸われて乳首が痛いときは、無理せずに、授乳の直前に乳首だけ温かいタオルで温めてから吸わせてみてください。
ママが身体を冷やさないように、そして出来るだけ心を穏やかに過ごす工夫も大切です。
食事は、暖かく消化が良い食べ物をよくかんで食べて、胃がもたれている場合はおなかが空くまで食べないようにしてくださいね。
このように身体や心をねぎらってみても、おっぱいが詰まって母乳育児が上手くいかない場合は、専門の助産院でおっぱいマッサージを受けることをおすすめします。
7.他のママたちと比べてつらい時
考えられる原因:ホルモンバランスの乱れ
他のママと比べて「私だけなんで母乳育児が上手くいかないの?!」と、つらい思いをしているママは多いです。
ホルモンバランスの乱れが多いに影響していると思いますが、他にも
- ネットの情報に振り回されている
- 母乳育児がつらい原因を整理できていない
- 身体的、精神的疲労から正しい判断が出来なくなっている
ということも考えられますよ。
産後3~4カ月ぐらいまでは育児もおっぱいもママの身体も不安定です。
母乳育児だけではなく、何事も上手くできたり、出来なかったりします。
赤ちゃんのいろいろな事に気付けるようにと、産後はホルモンが感情を豊にしてくれています。
そのため、普段では引っかからない事に感情を持って行かれ涙が出ちゃったりします。
そして、それで良いのです。
心配しないで感情を自由に表出してください。
産後3~4カ月を過ぎてくると、「あの時はなんだったのだろうと」明るく振り返ることが出来る時期が必ずやって来ますから。
まとめ
体がままならない出産直後から始まる母乳育児は、赤ちゃんの成長とともに目まぐるしく変化し、着いてゆくのが必死のはず。
だから母乳育児がつらいと感じるのは、自然なことですし、多くのママが通ってきた道です。
でも、ご飯が喉を通らなかったり、眠れなかったりするほどつらい時は産院や地域の保健所や助産院に相談してくださいね。
よくあることですので気軽にSOSを出しましょう!