吉井りょうすけの本読む毎日 「自分の仕事をつくる」【エッセイ】

先日、ここWindysにこんな記事を書きました。

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娘2人の名前をつけた頃、僕は日本語の音の美しさに魅せられていて、言葉について勉強していました。

東大の仏教学者の中村元さんが日本語について語った資料や、万葉集、縄文語、いわゆる古典、祝詞についてまなびました。

目の前のクライアントさんが話す言葉の音は、その後僕がコンサルティングをするときの、その人を理解するための一つの指針になったように思います。

言葉は、話す人、書く人の心の中を表していて、音を聞いていると、何かその人が仕事にこめているものが、伝わってくる気がするんです。

言葉を丁寧に受け止めると、その人とのつながりが生まれる気もする。

その頃から10年ほどが経ったでしょうか。

久しぶりに言葉の本を古書で取り寄せて読むことにしました。いま手元に一冊の本があって、読まれるのを待っていています。

ただ楽しいだけの読書。

いま、とても楽しみな時間です。

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そうしたら、こんな感想をいただきました。
(感想をいただけると、みなさんが思っているより嬉しいです。ありがとう)

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『とても大事ですね!コーチングをされているのに真逆の方に出会った事があります。発信は愛に溢れているのに、実際の言葉や表情、態度は真逆でした。他の方も同じように感じていました。クライアントさんに感じるように、クライアント側もきっと同じように感じるのかもしれませんね。
私も日常意識しなきゃ、と思います。ありがとうございます!』

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この方の感想は「私もがんばらなきゃ」という言葉で終わるのですが、たしかに「自分が大切にしていることを、ちゃんと大切にして仕事をすること」って、大事だなと思います。

僕は本が好きで、これまでにたくさんの本を読んできました。その中には、折をみて何度も何度も読み返している本があります。

そういう大好きな本の一つに「自分の仕事を作る」(西村佳哲著 晶文社)があります。

この本は、世の中の「いい仕事をしている人たち」が、どんなふうに仕事をしているのかをまとめた、インタビュー形式の本です。

その中に「ルヴァン」というパン屋の甲田さんインタビューがあります。彼は「矛盾がない仕事がしたい」と語ります。

少し長いのですが、その言葉を引用します。

「(手伝いを頼まれてパン屋の仕事を)ごく気軽に始めたんですが、この仕事はそれまでに経験した仕事に比べて、矛盾がなかったんです。小学校の先生をしたり、会社勤めをしたこともありますけど、働いているうちにどこかで矛盾が出てくるんです。僕が売っているものを飲み続けたら、カラダを悪くするだろうなあとか(笑)。ところがそのパンは自分で作っていて気持ちがいいし、人にもすごく喜んでもらえる。素材だって体にいいものしか入ってない。とにかく全体的に矛盾が感じられなかったんです」

仕事をしていると、時に自分の感覚とずれが生まれることがあります。

一人一人のお客さんを大切にしたいのに時間や効率にばかり目がいってみたり、本当は大して信じていない考えをSNSで発信してしまったり。

僕らは結構簡単に、自分に嘘をついてしまう。

サラリーマンなら自分でコントロールできることは限られるから、それも仕方がないのかもしれません。

なにより、そもそもこの世界に完璧なビジネスなんてありませんから、完全に矛盾をなくすことはできないでしょう。

でも、それでもせっかく自分でビジネスを立ち上げるなら、ていねいにその矛盾と向き合いながら、「自分が大切にしたいと思えること」を、「できるだけ、ちゃんと大切にしたビジネス」を作りたいと思います。

鍵はなんだろう。

きっと「自分の内側の、良心の感覚を、ばかにしないで大切にすること」だと思います。

仕事をしていて何かに気づくたびに、ちゃんとそれと向き合って、工夫し仕事の形を変えていく。

そうやってひとつ工夫が積み重なるたびに、他にはないビジネスへと変わっていって、いまよりもっと魅力的な仕事に生まれ変わります。

▶︎「自分の仕事をつくる」
(西村佳哲著 晶文社 836円)

#気が向いたら、感想もください。

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