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こんにちは、パートナーシップと性のカウンセラー小野美世です。
「お付き合いしている彼と、最近セックスの回数が減るばかりです。このまま彼と結婚していいのかどうか迷っています。」
こんなご相談がよせられることがあります。今回は、結婚前のセックスレスについて考えてみたいと思います。
1.あと回しにされがちな性の相性
彼と結婚して、ずっと一緒に暮らしていくかどうかを考えるとき、二人の価値観が合うかどうかはとても大事ですね。
- お互いの性格の相性、生活習慣が違いすぎないかどうか
- どんな原因で喧嘩になって、どう仲直りできるのか
- お金や家事の分担についてはどう考えているか
- 子どもは持ちたいのかそうでないのか
- どこに住みたいのか
- 将来的に一戸建てを持つのかそうでないのか
etc.
など、数え上げたらキリがありません。
そんな、相性のひとつに「セックス・性についてどう考えているか」があります。
しかし、結婚という大きなものが目の前にあるとき、性のことは気づくとあと回しにされることが多いようです。
「結婚したらなんとかなる」は幻想
これまでお話を聞かせていただいた女性たちからも、
「結婚前から、セックスレス気味なのが気になっていましたが、そのことを話し合わないまま結婚してしまいました」
と言われることがあります。
セックスは少ないけど、結婚したら一緒に住むのだから、なんとかなるんじゃないか。
性の相性は、正直あまりよくなかった。でも、彼には他にいいところがたくさんある。結婚したら、どうにかなるんじゃないだろうか。
逆に言えば、そう思いたくなってしまうくらい、結婚には「他に考えることがありすぎる」のかもしれません。
しかしその、性・セックスの頻度についての、「結婚したらどうにかなるんじゃないだろうか」という淡い期待は、叶わないことがほとんどだと言えます。
2.ただでさえ結婚後は"減る"のに
結婚し、その後でセックスレスの状態にある夫婦は決して少ない数ではありません。
コンドームメーカーの相模ゴムが行った2018年の調査では、結婚相手とセックスレスであると答えた人の割合は、全体の58.2%にのぼっています(20代から60代までの15000人弱を対象に調査したもの)。
同じ調査で、交際相手とセックスレスである、つまり結婚前にセックスレスであると答えた人の割合は、全体の30.8%という数字が出ています。
もちろん、調査媒体による違いや、個々の事情はありますが、
「結婚したら、基本、セックスは減っていく」
「同棲したら、基本、セックスは減っていく」
このことはもう、そうなる可能性が高いのだと頭に入れておいてほしいと思います。
違和感は見過ごさない方がいい
ご相談をいろいろ聞いていても、もちろん扱うお悩みの性質にもよるのですが、この逆のことはほとんど耳に入ることがありません。
ということは、結婚前からすでにセックスレスである場合には、結婚後はさらにその状況が進むと考えたほうがいいでしょう。
そうなっても別に構わないという方はそれでいいのですが、結婚前なのに、すでに自分だけが悩んでいるのなら、その違和感は見過ごさないほうがいいと思います。
いざ自分が妊娠したいと思ったときにスムーズにいかなかったり、自分のほうだけがレスについての悩みを抱え続ける可能性が高くなってしまいます。
3.あなたは"性"を大切にしたい人
さて、セックスレスで悩まれる方、あってほしいはずのものが、パートナーとの間に無いことで、モヤモヤした思いを抱える女性には、きっとこういう思いがあるのではないでしょうか。
「私は、性の相性を大事にしたい、パートナーとのスキンシップを大事にして人生を生きたい。」
そういう価値観をお持ちの方だと思うのです。
ご自身ではそう意識していなくて、悩みを抱えることで初めて自分がそういう性質なのだと知る方もいます。
「なくてもいい」人もいる
性・セックスの価値観は人によりさまざまです。
別になくてもいいという人、それ以外の手段でも十分に愛情を感じられるという方もいますし、過去の経験からうっすらと嫌悪感を持っている人もいます。
「結婚」「夫婦」「家庭」と「性・セックス」の組み合わせとなると、また考えが変わる人もいます。
「夫婦ってだんだんしなくなっていくものじゃないの?」という方もいますし、「相手が家族に見えてできなくなった」というのは本当によくお聞きする言葉です。
お付き合いしている相手との結婚を考えるとき、「あなたはどう考えてる?」という話はできているでしょうか。いざ尋ねられるとなかなか言葉にならないテーマかもしれませんね。
私は、パートナーシップや性を扱うカウンセラーとして、「性・セックス」の面でも、自分の性質に合ったお相手と、人生をともにされることを願っています。
二人が食い違うと、悲劇
「スキンシップはある方がいいよね」「うん、そうだね」または、「別にそれがなくてもいいよね」「うん、そうだね」とお互いに考えが一致していれば、問題はありません。
これが食い違ってしまい、どちらか片方に「ふたりの問題」として捉える意思がないとなると、悲劇なのです。
実際のご相談では、例えば冒頭のような質問を受けた時には、「結婚したら、なんとかなるかもしれない」と考えるのは待ってほしいと必ずお伝えします。
そして、結婚する前にすでにセックスレス気味なら、結婚後その状態がさらに進行する可能性があることや、先述した性・セックスの価値観のお話をします。
4.レスでも結婚したいあなたへ
結婚前からセックスレスなら、結婚後も性・セックスの悩みを抱えたままになる可能性が高いとわかっても、「なんとか頑張ってみます」と言われる方が多いです。
少し彼に話してみて「がんばるよ」と言われたので、(今、実際にそのがんばる姿勢が見られなかったとしても)進んでみるという方もいらっしゃいます。
やはり皆さん、その彼と一緒にいて楽しい、周りも祝ってくれているなど、「性の相性」だけで全てを考えておられるわけではありません。
自分の思いを開示して、話し合う
セックスレスについて悩みつつも結婚に向けて進みたいとなったら、せめて結婚前に、「私はセックスやスキンシップを大事にして人生を生きていきたい人」であることを、彼に開示してほしいなと思います。
そして、彼の考えも聞いてみてください。彼の愛情表現の仕方が「性・セックス」にあまり重きをおいていないだけで、彼には彼なりの、あなたを大事に思っている行動があるはずです。
セックスレスのことが結婚後に大きな問題になる可能性があること、「セックスがないから愛されていない」わけではないということ。
二人でできるだけ話をした上で、自分が本当に納得できるかどうかを確かめてみてほしいと思います。
場合によっては、この時点で、彼が何らかのレス解消に向けての努力をしてくれるかもしれません。
我慢が常に強いられるかもしれない
でも、結婚前の時点で、この話すらもできない、傷つくことを言われる、二人で着地点が見いだせないなら、「今の二人はそういう相性なのだ」ということがわかります。
それでも結婚したいなら、自分のほうに覚悟や我慢が常に必要になりますね。
その場合は、ご自身の心を守るためにも、「こういう状態になったらもう無理かなと諦めよう」というラインを考えておくことも必要かと思います。
まとめ
結婚生活では、二人の仲を維持し続ける努力と工夫が必要になります。性の相性がいいと思って結婚しても、あれれ?こんなはずではなかった…と崩れていく場合もあります。
大切なのは、「二人で話して相談して進めるかどうか」です。
そして最後に、極論にはなりますが、「この人とならセックスレスになってもいいから一緒にいたい」と思える相手かどうかというのを基準のひとつにするのもいいのかもしれません。
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