幼いときから「性」に興味のあった女性たちへ

こんにちは。パートナーシップと性のカウンセラー小野美世です。

今回は、ご相談のやりとりでたびたび出てくる話題をとりあげたいと思います。

パートナーとの性についての悩みをお聞きする中で、私がよく着目するのは、その方が持っている性についての価値観です。

つまり、

「性・セックス」をこれまでどんなふうに捉えてきたのか。

何に影響されてその価値観ができているのか。

性に肯定的な自分(または、否定的な自分)のことをどう思っているか

ということです。

その中でこんな声をお聞きすることがあります。

『小さいころから、幼稚園とか、小学生のころから性的なことに実は興味がありました。でも、そんな自分をダメだと思っていました。そんな自分はおかしいと思っていました。』

そんな方にまずお伝えするのはこちらです。

「なんにもおかしくないですよ!むしろ素晴らしいことです!」

1.「それは、あなただけじゃない」

そもそも他人にこんな内容を話すことがないので、「こんなふうに考えてるのは自分だけ?」と思ってしまいますが、あなただけではありません。

複数の女性から、ほぼ同じ言い回しで聞く話なのです。それをわかってもらうために私自身の話をしたりもします。

「私も小さい頃〇〇したり△△したりしてましたよ~」

相談者さん

「え?」

「一緒ですね^^」

相談者さん

「え、それはおかしくないんですか?」

「え。おかしいと思ったことがないです…あれ、私、変?」

相談者さん

「いえ…おかしいと思わなくていいんですか?」

「いいです(キッパリ)」

相談者さん

こんなやりとりを実際にしたこともあります。

2.感受性が豊かである証

小さい頃は、いわゆる「性の知識」というものはありません。

自分や周りの人の身体への興味からすべてが始まります。

ここを触ったらどうなるんだろう、どうしてこうなるんだろうという好奇心があるということです。

私がいつもお伝えするのは、

「それだけ興味があったり、好奇心があるのは、感受性が豊かな証拠ですよね」

ということ。

おそらく、自分の身体だけでなく、他のことにも好奇心が旺盛だったのではないでしょうか。

勉強にだって役立つ感性

「なんだろう?」「どうしてこうなるんだろう?」と思い、それを言葉にして、誰かに教えてもらい、知って、そうなんだ!と思い、また次の疑問に向かっていく。

それを積み重ねることで、豊かな感性が育っていくわけです。

知ることを面白いと思えるのは、後々にたくさんすることになる勉強にも役立つことです。

それって、果たして悪いことでしょうか?

だから、たくさんの女性に伝えてきました。

「性に興味のあることは、悪いことじゃないですよ。むしろ素晴らしいことです!」と。

3.なぜ、ダメだと思ったのか

ではなぜ、「性に興味があるのはダメなことなんだ」「そんな私はおかしいんだ」という気持ちができてしまうのでしょうか。

主な理由は2つです。

(1)親に言われた言葉の影響を受ける

(2)後にそれが性にまつわることだという知識を得て、自分の中で見方が変わってしまう

親はしつけのつもりだったけど、、

性に興味があるのはいけないこと、興味がある自分はおかしいと思っている方の多くが、小さい頃に親から言われたことを口にします。

親に「そこは触っちゃダメ」と言われたから、特に性器まわりは汚い場所なんだと思うようになった。

そんな汚い場所に興味がある自分はおかしいのかなと思うようになった。

自分が性的に女になったら、母親に嫌われるという感覚を持つ人もいます。

親としては、性に興味を持つことで自分の子どもが危険にさらされたらどうしようという思いから出ている言葉だったり、衛生上のしつけだったりします。

でも、子ども側の捉え方が違うということですね。

丁寧に教えてくれる大人がいなかった

そしてもう一つは、小学校高学年から中学生にかけて、性の知識を得ていくにつれ「小さい頃、興味があったアレはそういうことだったんだ」と知るケースです。

もうこの頃には、「性のことはおおっぴらに言うものではない」「隠すもの=悪いこと、恥ずかしいこと」のような空気が周りに漂い始めます。

悲しいのは、そういうときに「性のことは大事なことなんだよ」とハッキリ丁寧に教えてくれる大人が周りにあまりいないことです。

思春期に入りかけの子どもたちは、恥ずかしいので、茶化す・からかうと言った形で性のことを話題にしたりします。

「私、それに興味がありまーす!」なんて言ったら、周りからどう思われるか。それに興味のあった自分を隠したくなり、おかしいと思い始めてしまうのです。

4.お子さんのためにも誇りを持って

大人になってから出会った友人やお付き合いした男性、または読んだ本などの影響により、「性に興味のある自分はおかしいんだ」という思いが薄れることもあります。

しかし、そういった出会いに恵まれることはなく時間が過ぎていくと、例えばこのように影響が出ることがあります。

・自分はおかしい、自分は汚れている気がして、恋愛に積極的になれなくなる

・性に興味のある自分を男性とのお付き合いの中で隠し、本音と建前の乖離で苦しくなる

また、結婚し子どもを授かって育児をするようになると、子どもへの気持ちにもその影響が出てくることがあります。

子どもへ"投影"してしまうかも

Cさんは次のようなメッセージを送ってくれました。

-娘も性を嫌いになってしまうかもしれません-

「6歳の娘がいます。保育園で同じクラスの男の子が、娘の身体をさわったようで、そのことで気持ちがモヤモヤしています。

男の子も娘に謝ってくれ、先生にも注意してもらって話はおさまりました。

私は性に早めに目覚めてしまったことで散々自分を嫌悪してきたので、娘も同じように自分の性を嫌いになったらどうしようと悩んでいます。

子どものしたこととはいえ、相手の男の子に怒りが止まりませんでした」

ペン

このメッセージの中でポイントになるのは、「相手の男の子」というより以下の2点です。

(1)Cさんが早めに性に目覚めたことで自分を嫌悪してきたこと

(2)自分がそうだったから、娘もそうなるんじゃないかと感じたこと

心理学の用語で「投影」といいますが、「自分がそうだったから子供もそうなってしまうんじゃないか」という心の動きは、育児をしているとよく遭遇します。

ですので、まずCさんには、自分が悩んできた長い時間があるので、「娘さんも同じようになってしまったらどうしようと不安になりますよね」と伝えたうえで、

「自分を嫌悪しなくてよかったんですよ。性に興味を持つのは悪いことじゃなかったんです。むしろ素晴らしいことです!」という上述の内容をお伝えしました。

Cさんはだいぶ驚いておられましたが、「自分を嫌悪しなくてよかったんだ、そして、娘もきっと大丈夫なんだ」というように、世界の見え方が変わっていったようです。

まとめ

性に対する価値観は、小さい頃から自分の意識しないうちに受けている影響により出来上がっていることがあります。

「こんなふうに思っているのは自分だけなんだ」という思いは、実は多くの方が持っていますし、「自分はおかしいんじゃないか」と思うことは、たいていの場合、おかしくはありません。

大切なのは、自分を否定しないこと、自分が悪いと思わなくていいということです。

そうすれば、自分の周りの人にも、同じように「自分を大切にしていいんだよ」という目を向けてあげられることでしょう。