あなたの恋愛がいつも上手くいかないのはもしかしたら、、

こんにちは。パートナーシップと性のカウンセラー小野美世です。

普段から、パートナーシップと性に関するご相談をお聞きしていて思うことのひとつに、小さい頃から「性」について、

見てきたこと、

聞いてきたこと、

言われてきたこと、

経験してきたことが、

大人になってからのパートナーシップに少なからず影響を与えるということです。

1.小さい頃の、小さいトラウマ

小さい頃の性的なトラウマが、大人になってから、「性」に対して、またパートナーに対して、心を閉じる原因になったり、逆に開きすぎる原因になったりします。

こんな自分は魅力がなくてダメだと思ったり、自分を大切にせず心も身体も投げ出してしまうような方のお話を聞いていくと、小さい頃の経験が出てくることも少なくありません。

そんなときに大事なことは、「当時の自分に対して、やさしい視線を向けてあげること」です。

その視線をこれまで知らなかったのなら、それを知ってみることです。

少し前に、人からのオススメで小さい子向けの性教育の本をいろいろ見ていました。

その中で、目にとまったのがこの本です。

『とにかくさけんでにげるんだ わるいひとから身をまもる本』

(ベティー・ボガホールド 岩崎書店 1999)

ページ一面に広がる、透明水彩のやさしい絵と短めの文章で、子どもと一緒に読めるようになっている絵本です。

「知らない人に、いっしょに行こうって言われたら?どうする?」

「知らない人に身体をさわられたら?どうする?」

「お母さんに、君を連れてきてって言われたんだ、行こうって言われたら?どうする?」

そういう状況ごとに短いお話になっていて、親子でも読みやすそうでした。

パラパラ本をめくっていて、あることに気づきました。

お母さんが、しっかりと子どもを抱きしめている絵が多いのです。

そして、「あなたはなにもわるくないのよ」という言葉も。

絵本の中の子どもたちは身体をさわられたり、知らない人に連れて行かれそうになったことをお母さんに話すかどうか、迷います。

「これは言っていいのだろうか。」

「言うと怒られるんじゃないだろうか。」

「言うと心配させるんじゃないだろうか。」

私が我慢すれば、たいしたことじゃないと思えば、このまま時間がすぎれば…。

子どもたちの、そんな見えない葛藤が、絵から伝わってくるようです。

言っていいのかな…。言えない…。

でも、お母さんはそんな子どもたちに「話していいのよ」と促し、「あなたはなにもわるくないのよ」っていう言葉とともに抱きしめてくれる。なんと安心できるあたたかさでしょうか。

2.あなたはなにもわるくない

ご相談を聞いていて、小さい頃の「何かされそうになった」「実際に何かされた」体験を聞くことは少なくありません。両親に言えた方もいるし、言えなかった方もいます。

その体験が男性不信につながったり、「女の子の自分」を抑えてしまったり、逆に、出し過ぎてしまったりと、周囲からはわかりにくい形で影響していることも、あります。

その方たちが、小さかった頃に何よりも欲しかったのは「あなたは、なにもわるくないのよ」と言ってお母さんにぎゅっと抱きしめてもらうこと。

きっとそれなんだろうなと、思ったのでした。

私が悪いんだ。私が変なんだ。なんか、私気持ち悪い…

そんなふうに心の奥のどこかで思っている方がいるとしたら。今からでも遅くないし相手はお母さんでなくてもいいのです。

「あなたは、なにもわるくないのよ」という言葉を聞きながらただただ、抱きしめられて安心してください。

大切な人でもいい。友達でもいい。小さかった頃、何もできなかった頃。「助けて」とすら、言えなかった頃。

そんな頃の怖さは、もう消えていってもいいですよね。自分で自分を抱きしめてもいいのです。

「あなたは、なにもわるくないのよ」

この言葉をぜひ、自分の心にとどめてあげてほしいと思います。

3.「痴漢のことを言えなかった」

ご相談の中でこの話題もよくあります。

「痴漢にあったことを(両親に、特にお母さんに)言えなかった」というお話。

痴漢にあったことが、特につらい大きな問題にならず今に至っている方もいれば、性のお話やその方の男性観をよくよくみていくと、とても影響を受けてしまっている場合もあります。

「この違いはどこにあるのだろう?」と考えると、きっと痴漢本人への「ふざけるなよ、このバカ!!」という気持ちをどこかで出せた人、なのかなと。

痴漢本人の手をつねるとか、その場で声をあげられたとか、駅員さんに突き出せたとか。

または友達や親に、怖かった、悔しかった、悲しかった、気持ち悪かった…そんな思いを少しでも出せたら、後々まで影響を受けにくいのかもしれません。

出せなかった思いが心にあると、ずっと残りやすいのかもしれないと思います。

4.お母さんに言いたかったこと

あるとき、Bさんから、こんなメッセージをいただいたこともあります。

-痴漢のことをお母さんに言いたかった-

私も、痴漢にあったことをお母さんに言いたかった。怖かったこと、気持ち悪かったこと、苦しかったこと、お母さんに聞いてほしかったな…。

母には性のことも恋愛のことも全然話せなかった。

女なんて損!結婚なんて損!私の人生すごく不自由!っていう感じの人だったから、私の気持ちなんてわかってもらえないだろうと決めつけていました…。

その気持ちは今もぬぐえません。」

ペン

Bさんは、その後、直接ではなくメールという形で、お母さんに、昔痴漢にあってつらかったことを伝えました。

とても思い切りが必要だったと思います。

メールを打っているそばから泣けてきて、長い間心に閉じ込めていた思いが成仏していったそうです。

そして、こんなことに気づかれました。

-本当は痴漢が問題なんじゃなかった-

「自分の気持ちを全部メールに出してみたら、痴漢が問題なんじゃなかったのかもしれないと思いました。

私がお母さんに求めていたのは、わかってほしかった、助けてほしかった、どんなときでも私はお母さんを頼って甘えていいって思いたかった、兄弟を差し置いてでも、自分を優先してもらいたかった…ということでした。

これをずっと我慢し続けていたから、心の中に押し込め続けていたから、痴漢のことがずっと気になるという形で心に残っていたのかもしれません。」

なんで走って逃げなかったの!いつまでもメソメソしてもしょうがないでしょ!

…お母さんにそう言われるんじゃないかと思っていたBさん。

しかし、メールの返信には、そんな言葉はひとつもなかったそうです。

自分の気持ちを丸ごと受け止めてもらえた。そう感じることができたのでした。

-もしお母さんに言えなくても-

Bさんは、お母さんにメールを送るという方法で、結果的に大きな安心を得ましたが、そういうことができない状況の場合、こんなイメージをご提案することもあります。

自分が当時、助けてほしかったお母さんや、友達や、警察官や学校の先生たちが、塊になってやってきて、

「〇〇ちゃん!大丈夫?怖かったね。もう心配いらないからね」

「こらー、痴漢待てー!」

「さ、〇〇ちゃんこっちおいで、ここなら安全」

「うおー!逃がさないぞー!」

どどどどど・・・・。

そして、縛り上げられる痴漢…。

まとめ

小さい頃やずっと昔にあった小さなトラウマ。

それを現在にまで引きずらないよう和らげていくには、「当時の自分に対して、やさしい視線を向けてあげること」が必要と書きました。

そのひとつが、「あなたはなにもわるくないのよ」という言葉であり、安心できる人に抱きしめてもらうこと。

そして、自分の心の底にある「わかってほしかった・助けてほしかった・頼りたかった」という気持ちに目を向けてあげることです。

あなたは大事にされて、守られていい存在です。小さな頃の小さなトラウマが、すっと消えていきますように。