150年前にドイツ人医師がおどろいた車夫の食生活【ヴィーガンを考える】

きっと今、多くの女性が気になっているヴィーガン。

Windysでは、皆さんと一緒に"考える"ことを目的として、ベジタリアン暦40年・ヴィーガン暦10年の「セドナのナナさん」に、ヴィーガン初心者向けのコラムを連載をしていただくことになりました。

豆腐ステーキ
「豆腐ステーキ」

〈〈 前回の記事 『40年前、政治亡命者たちに熱帯雨林のはなしを聞いてから。

子育てをしている時期は乳製品も多少、取り入れていましたが基本は「玄米菜食」でした。

私がお肉料理を家で作らないので、子どもたちは家でお肉を見たこともなかったのですが、ある日テレビで「ハンバーグの作り方」を紹介しているのを観て、

「あれはなーに?」

「牛さんのお肉ってどういう意味?」

と聞いてきたんです。

子どもたちに説明をしたら、「もう絶対に食べない」と言っていました。

上の子が小学校一年生の頃まで日本にいたのですが、給食にお肉が入っているような時は、先生とお話して、その時だけおかずを持たせるようにしていました。

今はアトピーの問題もあるので、以前よりもそういった相談がしやすいかもしれませんね。

日本人はもっと健康になれるかも

日本人の食生活に乳製品が積極的に取り入れられたの戦後だと思います。

最近では、卵や乳製品にアレルギー反応が出たりする子供が増えていますよね。

元々、日本人には乳製品を分解する酵素が、西洋人などに比べてとても少ない言われています。(※1)

「玄米菜食」のような本来の日本人の食生活に戻っていけば、日本人はもっと健康になれかもしれれません。

そして、「日本人としての誇り」というのも取り戻せるのではないかと思います。

ドイツ人医師「ベルツ」の試み

約150年前、明治政府に招かれたドイツ人の医師「ベルツ(※2)」という人がいました。

ベルツは東京から日光へ向かう際、車夫が交代をせずにたった一人で人力車を引き続けたことに驚き、彼に普段の食事を尋ねたそうです。

そして、その車夫の食生活が粗食であったことを知り、

「なんでこんなパワーがあるんだ?!

「肉や乳製品を食べさせたらもっとパワーが出るんじゃないか?!」

と考えそれらを提供したそう。

一方、車夫の方は食生活を変えてから3日でバテてしまい、「元の食生活に戻してくれ」と頼んできたそうです。

馬力が出るのはヴィーガンの方?

「米俵を背負った小さなお婆さんの写真(※3)」、見たことはありませんか?

このおばあさんたち、ヴィーガンですよ!!

「健康的に」ヴィーガンというよりは、「経済的に」ヴィーガン。

昔の日本人は強かったのです。

ところで皆さん、馬が何を食べているかご存じですよね?

馬はお肉を食べません。草食動物です。

でも、馬ってすごい筋力です。

一方、ライオンのような肉食動物は、一回獲物をとって食べると、消化のために3日くらい寝てなきゃいけません。

もちろん、人間と馬やライオンでは、構造が異なりますが、、、

お肉は、人間にとっても動物にとっても「単発的な馬力」は出ても「長期的な馬力」は出ないのかもしれませんね。

つづく。

【注釈まとめ】

(※1)日本人と乳製品

日本人の約8割は乳糖を分解する酵素がない。2歳を過ぎると乳糖不耐症がふえ、腸と体に負担をかける。(参考文献:「パンと牛乳は今すぐやめなさい!」内山葉子 著)

(※2)エルヴィン・フォン・ベルツ

明治9年に東大医学部の「お雇い教師」として招かれ来日したドイツ人医師。いく度かの帰国をはさみ滞日は29年に及ぶ。「近代医学の父」とも称されている。

(※3)米俵を背負った女性の写真

山形県にある山居倉庫の資料館に、米俵5俵(約300kg)を担ぐ女性の写真や模型が展示されている。